東京マラソンに向けての練習をこなしている。
インフルエンザで約1週間を失ったので、ちょっと巻いて練習している。本来的にはスケジュールにのっとっていないけれど仕方ない。
そんな僕を心配してくれて、元MTBオリンピアンの竹谷賢二さんがラン練のペーサーを買って出てくださった。
当然ながら、様々な仕事やメディアへの露出、そしてご自身のスクール等でお忙しい方である。そんな方が皇居での30kmラン、キロ5分ペースで僕を引っ張ってくださった。
キロ5分ペースで4周まではイケると、走る前からわかっていた。苦しいのはその先の2周だ。
3周目までは軽口を叩きながら走れたが、4周目で途絶えた。そして5周目。
案の定、自分との対話が行き着くところに来た。辞める理由を探したり、痛みがないかを探したり、つまりは辞める理由を見つけ出す。息はあがっていないけれど、苦しさは増してくる。自分の中での良い意味での緊張を緩めれば、いつでも後れを取ってしまう…そんなレベルだ。
竹谷さんはそれを見透かして、僕を生かさず殺さずのペースで走る。僕がキツくてペースが落ちると、少し緩めて追いつくように走り。追いつくとまたペースを上げていく…そんな繰り返し。
しかも最初の3周で、これでもかというほど自分との向き合い方を教えてくれた。たぶん、竹谷さんのこの哲学を聞いたら、凹む人はその場で凹むかも(笑)。
しかし決して凹まず、それをある程度理解した上で、背中を追い続ける。
耐えているのは身体の痛みや苦しさ、ではない。
自分自身の気持ちが何かを騙して理由を探そうとする…そうした狡さが出てこないように。
へこたれて愚痴をこぼしたり、靴の中でソックスがズレてるので…なんていう理由を見つけて一瞬とまって密かに休まないように。
あるいはハッキリと、もう付いていけません。ダメです! と開き直ってしまわないように。
全6周のうち、最もツラいのは5周目だ。最後の周は、これで終わりという気持ちで走れてしまうからだ。
正直、余裕がなかった。だから、とにかく負けない。自分のあらゆるものに負けないように耐えた。それだけしかできなかった。
けれど、そうして耐えることができたから、6周目があって目標をクリアできた(させてもらった)のだ。
本番は1人でそれを実践する。その時にこそ、もっと強烈にあらゆる自分に負けないよう耐えなければならない。
昨年は、そこで耐えきれなかった。
だから今年は耐える。
そのために、残された日々を着実にこなすのだ。
竹谷さんが教えてくれたのは、そのことだけではないのだけど、とにかく密かに自分の中で、耐える、ということを忘れてはいけないと思えた。