オヤジなら、挑むべき。【まなブログ for Life Goes On】

4年前の今夜、僕の人生の舵はもしかしたら180度逆に切られたのかもしれない。4年前の今夜、僕は宇都宮のオリオン広場で開催されていた、日本最大の自転車レースであるジャパンカップの前夜祭ステージで、トークに出演していた。

トークの相手は、僕に自転車の手ほどきをしてくださった、今中大介氏。日本人で初めてツールドフランスを走った方で、僕に自転車を勧めてくださった元F1ドライバーの片山右京氏からご紹介いただいた方だった。

そしてもう1人が、日本を代表するトライアスリート・白戸太朗氏。この日は、ジャパンカップを20年以上サポートしているスバルのステージというだけあって、自転車とクルマについてのトークを展開していたのだった。

なのになぜだろうか? 話はいつしかトライアスロンに至り、白戸氏は僕に

「河口さんもトライアスロンやりますよね?」

と、数百名のお客様の前で僕に聞いたのだった。そしてお調子者の僕は

「当然じゃないですか!」

と後先を考えずに答えたのだった。いや、実は一瞬で考えたけど、ここはノッておくのが面白い! と直感して答えたのだ。

そうして僕の人生は、方向を転換した。

それまで運動とは無縁だった。学生時代には野球・サッカー・ハンドボールをしていたが、仕事を始めてからは片山右京氏に自転車を勧められるまでは何もしていなかった。いや、むしろ大人になって運動なんて…とすら思っていた。

白戸氏の呼びかけに答えたものの、実際にトライアスロンへの挑戦が始まるのは翌年の1月であり、泳げなかったスイムを始めたのは大会の1ヶ月半前の4月である。だからこの時はまだ、たかをくくっていた。

もちろん後で、とっても苦労するのだが。

しかし、僕はいま改めて4年前の今夜を振り返って、あの時ノリと調子の良さで「当たり前じゃないですか!」

と答えて本当に良かったと思っている。あそこで逡巡していたら、僕は今も人生において逡巡しているに違いない。

そう思うと、どんなきっかけであれ、ピンと来たら挑むべきなのだ。

もちろん、その「ピン」が、自分の思い込みだったりする場合の方が多い。けれど、それでもきっかけを得て挑めば、何かが変わることも間違いない。

いや、いま改めて思えば僕の「当たり前じゃないですか!」は、絶対にその場のノリと調子の良さと自分の思い込みだ。

けれど、それでも人生は180度変わるのだ。

それまでクルマが趣味でそれが仕事で、それだけを考えて生きてきた。

けれど今は、トライアスロンに夢中になり、それに付随するスイムも、バイクも、ランにも夢中になっている。そうしてさらに世界は広がって、様々な趣味に目を向けるようになった。

そうして世界が広がると、これまで一生懸命に追いかけて来たクルマがまた違う角度から見られて新鮮なものになった。そしてますます、クルマも好きになっていった。

同時にそれまでは、仕事のことだけを考えていたけれど、趣味のこと、家族のこと、友人のこと…と言った具合に考えが広がり、仕事をするだけが人生ではないことにも気づけたし、仕事以外を大切にすることが仕事への集中力にもなることを学んだのだ。

こんな風に記していると、僕はすごく今を生きているな、と思う。もしあの時、挑んでなければ僕は今をぼんやりと生きていたに違いない。

あの時、もう既にオヤジだったけれど、あの時ふとしたきっかけで挑んで本当に良かったと何度でも思う。

絶対に遅すぎることはないし、自分の思い込みレベルで良い。

オヤジは絶対に今、挑むべき。

すると全く違う、明日がやってくる。本気でそう思う。